耐震工事を検討しよう

2016/05/31

専門機関に聞く★マンションの耐震化ステップ〜JASOインタビュー〜

第1回:「耐震アドバイザー派遣」とは?何がわかるの?

「私のマンション、大きな地震が来ても大丈夫?」と不安に感じたら、耐震診断を受けようと考えます。しかし、耐震診断って何を診断するの?お金がかかるの?どのくらいの期間が必要なの?と、疑問がいっぱいで、どうしたらいいのかわからない…耐震化に向けて何から始めたら良いのか、どんなステップがあるのか、耐震総合安全性を追求している専門家集団「NPO法人 耐震総合安全機構(JASO)」の建築耐震アドバイザー坪内真紀さんにお聞きしました!

‐JASOの設立目的や理念について、教えてください。

契機となったは阪神淡路大震災です。「建築の安全性は、人命と生活・構造躯体・設備や什器をも含めた総合的安全性を保証していなければならない」を理念として、日本建築家協会(JIA)・日本建築構造技術者協会(JSCA)・建築設備技術者協会(JABMEE)の3団体が中心となり、任意団体の建築耐震設計者連合(JARAC)が設立されました。その活動を引き継いで、2004年にNPO法人としてJASOが設立され、耐震安全性を「建築」「構造」「設備」のそれぞれの視点から総合的に捉え、安全な住環境を整備するための活動を行っています。

JASOの建築耐震アドバイザー

坪内真紀さんにお聞きしました

‐JASOには、どんな専門家や企業が加盟していますか?

建築なら一級建築士、構造は構造設計一級建築士、設備は設備設計一級建築士や建築設備士の専門家がいます。また、賛助会員として、建材、設備、工法、部材などの各メーカー、ゼネコン、調査会社まで、様々な角度から「耐震」について考えている企業が加盟しています。
 

‐「耐震アドバイザー派遣」とは、どのような制度なのでしょうか?

JASOの「耐震アドバイザー」とは、建築士またはそれに準じる専門家で、JASOの講習を受けた人を指します。JASOでは建築と構造の専門家2人が現地に行き、目視で地震に対する危険性をチェックします

耐震工事を始めるには、まず最初に行うのが「耐震アドバイザー派遣」じゃな!

‐派遣を申し込むにはどうしたら良いのですか?

「耐震アドバイザー派遣」についての助成制度を設けている自治体が多いので、その場合は自治体に申し込みをします。自治体に助成制度がなかったり、あるかどうかわからない場合は、JASOに直接お問い合わせいただいても大丈夫です。

‐派遣を受けるために、何を準備すればいいですか?時間はどれくらいかかりますか?

設計図や竣工図、改修工事の記録など、図面を用意してください。ない場合は、マンション売り出しの際のパンフレットでも良いです。図面は管理会社で保管しているケースもありますので問い合わせてみてください。現地での所要時間は2時間程度です。

‐「耐震アドバイザー派遣」を受けると、どんなことがわかりますか?

地震が起きた際の危険要素がわかります。旧耐震基準で建てられた建物であるかどうかや、ピロティなどの設計や構造上の危険だけでなく、しっかりと止められていない可能性がある高置水槽などの設備や、避難経路の安全性など、総合的に地震の際のリスクをチェックします。また、古いマンションや、増改築を繰り返したマンションは、当時は合法でも、現在では建築基準法に違反している可能性もあるので、その点も指摘します。

‐耐震診断を受けたほうが良いかどうかの判断もしてくれるのでしょうか?

耐震診断を受けたほうが良いと判断した場合は、「耐震診断を受けるべき」とアドバイスします。また、診断に必要な金額もざっくりと算出できます。それぞれの自治体の助成制度にも通じているので、診断にかかる金額は助成金でまかなえるかどうか、などのアドバイスもできます。

また、「耐震アドバイザー派遣」では報告書を作成します。自治体への申込で実施する「耐震アドバイザー派遣」の報告書は、区長名で助成資料とともに届く自治体もあるんです。それを資料として、総会で説明することができますし、状況に応じて同席もします。

自分のマンションの耐震性が不安だが、何から始めたら良いのかわからない…そんなときに「耐震アドバイザー派遣」はピッタリの制度じゃな!助成制度にも詳しいから、どこまで使えるかの相談に乗ってもらえるのも心強いのじゃ!」

さて次回は、アドバイザー派遣の次のステップ「耐震簡易診断」について。
診断でどんなことがわかるのか、詳しく話してもらったぞ!

特に簡易診断をマンション管理組合が実施するメリットについては注目じゃ!

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