耐震工事を検討しよう

2016/07/19

専門機関に聞く★耐震工事に関わるお金のこと〜住宅金融支援機構インタビュー〜2

第2回:融資申込みのポイントとは?

 

 

住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資では、耐震改修工事を伴う場合、金利の引下げや、事前に申込要件のチェックを受けられるなど、メリットが多くあることが前回(第1回:耐震工事用のローンとは?)でわかりました。第2回は、引き続き住宅金融支援機構の野上さんに、融資申込みにあたっての具体的なチェックポイントについてお聞きしました!

 

お話を伺った、まちづくり推進部マンション
再生支援担当推進役の野上雅浩さん

‐融資の申込みの際にチェックされるポイントは?

まず、「管理費」と「修繕積立金」がしっかり区分されて管理されていることが必要です。管理費は清掃など日々の管理に要するお金ですが、修繕積立金はマンションの修繕のために積み立てているお金。この修繕積立金が返済の原資となるので、区分会計がなされた決算書と予算書が総会で承認されていることが必要です。また、融資希望額の毎月のご返済を毎月積み立てられている修繕積立金の80%以内としていただく事も必要です。その他、修繕積立金の一年間の未収金が一年間に集める修繕積立金の額の10%以内とすることも必要です。

‐他にも必要な書類が多くありますね。

先程の会計処理のほかに、管理組合の合意形成状況、管理規約の内容、工事内容などを確認させていただくために、書類の提出をお願いしております。

‐総会の議事録で合意形成が取れているかどうかを見るんですね。

そうです。工事を実施することだけでなく、機構の融資を利用することやその返済方法などについても合意形成されているか確認させていただいております。また、先程のとおり、毎月の返済額は毎月徴収する修繕積立金の80%以内となることが融資の条件ですが、耐震改修工事の予算が大きい場合や、元々の修繕積立金が低く設定されている場合は、修繕積立金の値上げを総会で決議されるケースもあり、それらの合意形成はとても重要です。

 

‐古いマンションだと、管理規約がないこともあるのでは?

総会イメージ

管理規約がなくても、要件を満たす管理規約を作り、総会で決議いただくことで、要件を満たすことができます。その場合は、要件を満たすために管理規約で定めなければいけない事項をアドバイスさせていただいたり、行政の支援サービスなどを紹介することで、管理組合が適正に管理ができるように支援しています。

‐融資は「借金」ですから、拒否反応を示す方も多いのではないでしょうか。

耐震改修工事が必要な築35年以上のマンションでは、高齢の区分所有者や中古で取得されて住宅ローンを返済中の区分所有者など、一時金を用意するのが難しい区分所有者が多いことは想像できますので、そのようなご意見の区分所有者がいらっしゃる場合もあります。共用部分リフォーム融資のご利用が近年増えている背景の一つとして、耐震改修工事などの重要な工事については、一時金が用意できないからと後回しにするよりは、融資を利用して必要な工事をなるべく早く行おうと考える管理組合が増えているからではないでしょうか。 また、お住まいのマンションの管理組合が共用部分のリフォーム工事を行う際に、区分所有者の方が一時金を負担する旨総会で決議されている場合に、住宅金融支援機構では、区分所有者向けの一時金の融資も行っております。満60歳以上の区分所有者は、返済期間を申込本人(※)が亡くなられるまで、毎月のご返済を利息のみとし、借入金の元金は申込本人(※)が亡くなられたときに一括してご返済いただく高齢者返済特例制度もご利用いただけます。詳しくは、住宅金融支援機構の担当窓口までお問い合わせください。

 

※ 連帯債務者を含みます。

 

命を守る耐震改修工事。資金面を理由に後回しにするよりは、融資を利用して工事を早期に完了したほうが安心して暮らせるのは当然!融資件数が増えていることも納得じゃ。

次回予告:

次回は、「工事後の流れとメリット」について。住宅ローンを多く扱っている金融機関ならではの話が満載じゃ!

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