耐震工事を検討しよう

2016/09/30

専門機関に聞く★耐震工事に関わるお金のこと〜住宅金融支援機構インタビュー〜3

第3回:工事後の流れとメリット

 

 

融資を受けるポイントがわかったら(第2回:融資を受ける審査のポイントとは?)、書類を用意して申し込みます。融資審査を経て、融資承認がなされれば、安心して工事をスタート!今回は、工事完了から、融資金の受取と工事費支払いまでの流れと融資を利用した場合のメリットについて、引き続き住宅金融支援機構の野上さんにお聞きしました!

 

お話を伺った、まちづくり推進部マンション
再生支援担当推進役の野上雅浩さん

‐工事が完了してから管理組合が融資金を受け取るまでの期間は?

工事完了の届出をいただいてから、融資金の受け取りまで約3ヶ月かかります。そのため、工事施工会社には工事請負契約前に融資金の受取予定時期をあらかじめ伝え、工事代金の支払い時期について、双方で合意しておく必要があります。 また、耐震改修工事など工事費が多額になり、工事途中で中間金の支払いが必要になる場合は、修繕積立金の手持金で対応されるほか、民間金融機関によるつなぎ融資をご利用されている管理組合もあります。

‐万一、想定額よりも工事費用が膨らんでしまった場合は?

実際に足場を組んで確定した工事費が当初の見積もりから変わることは、共用部分リフォームではよくあることです。工事完了時に実際の工事費に基づいて融資額を決定するので、融資の申込み段階では、見積の工事費に予備費を含めた事業費に対する資金計画で機構融資をお申込みいただくことが可能です。もちろん、増額がわかった段階で変更申請をいただき、再審査を経て、融資額を増額する手続も可能です。

‐多くの耐震改修工事への融資を手がけてきたご経験から、最初の相談から融資までスムーズに進めるために大切なことは何だと思いますか?

耐震改修工事の融資をお申込みいただく管理組合の多くは、工事検討の初期段階から融資のお申込みまで、長い時間をかけて区分所有者の合意形成や工事内容、さらには資金計画の検討に取り組まれています。その多くの管理組合では、理事会や修繕委員会のメンバーが中心となって、専門家や行政等のアドバイスを受け、総会までに工法から工事計画、資金計画まで実現可能な具体的方向性を示すことが、合意形成につなげる重要な要素になっているといえます。

 

‐耐震改修工事により、生命や財産が守られ、安心して暮らせるのはもちろんですが、資産価値が守られることもメリットのひとつです。そのような耐震改修工事への融資で住宅金融支援機構からメリットは何かありますか。

まず、管理組合が共用部分リフォーム融資を利用して耐震改修工事を行う場合に、融資金利が0.2%引き下げられます。また、建築確認日が昭和56年5月31日以前の旧耐震基準の住宅で、【フラット35】をご利用いただく場合は、機構が定める耐震評価基準の要件に適合する必要があります。マンション共用部分リフォーム融資を受けて耐震改修工事を行ったマンションの多くが、工事後その耐震評価基準に適合します。そのようなマンションで、機構が定めるその他の要件を満たしている場合は、当該マンションの売買が今後行われる際に、管理組合が耐震改修工事を行うことによって【フラット35】を住宅ローンの選択肢の一つに加えていただけることとなります。

 

‐機構が定める耐震評価基準を満たさないマンションは、【フラット35】を利用できないのですね。

そういうことになります。機構が定める耐震評価基準を満たしているマンションであり、その他所定の要件を満たす場合は、築年数にかかわらず【フラット35】を利用いただけます。管理組合が耐震改修工事を行うことで、各専有部分で利用できる住宅ローンの選択肢も拡がり、中古市場で売買しやすくなることも期待できます。 機構では、管理組合が耐震改修工事を行う際の資金計画等のアドバイスもさせていただきますので、耐震改修工事を検討されるときは、ぜひ住宅金融支援機構にご相談ください。

「管理組合が耐震改修工事を行う事で、住宅ローンの選択肢も拡がるんじゃな!資金面で耐震改修工事を先送りする前に、まずは住宅金融支援機構に相談じゃ!」

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