耐震工事を検討しよう

2016/07/12

専門機関に聞く★耐震工事に関わるお金のこと~住宅金融支援機構インタビュー~1

第1回:耐震工事用のローンとは?

耐震工事が必要だとわかっても、費用面で課題がある…そんなときに頼りになるのが、金融機関のリフォーム融資。住宅関連の公的金融機関である住宅金融支援機構では「マンション共用部分リフォーム融資」として、耐震改修工事の費用に対する融資も行っています。どうすれば、融資を受けられるのか?どのくらいの金額ならば大丈夫なのか?そんな疑問を、住宅金融支援機構のまちづくり推進部マンション再生支援担当推進役の野上雅浩さんにお聞きしました!

‐住宅金融支援機構の耐震工事用の融資について教えてください。

お話を伺った、まちづくり推進部マンション
再生支援担当推進役の野上雅浩さん

「マンション共用部分リフォーム融資」は、マンション管理組合が共用部分を修繕する工事に最長10年間ご利用いただける融資制度です(※)。融資申込時の金利が固定金利で適用されるため、借入申込時点で返済額が決定するので、返済計画が立てやすく、多くの区分所有者がいるマンションでも合意形成が図りやすい融資制度です。融資金利は2016年6月時点で0.72%ですが、耐震改修工事を伴う工事を併せて行う場合、0.2%の金利引下げを実施しており、0.52%となります。また、機構が発行している、修繕積立金の計画的な積立や保管・運用をサポートする「マンションすまい・る債」を購入いただいている管理組合にも、0.2%の金利引下げを実施しており、両方を適用した場合には、0.32%の金利が適用されます。
※マンション管理センターの保証を利用する場合

リフォーム融資の種類 融資金利 マンションすまい・る債積立
管理組合向け融資金利
マンション共用部分リフォーム 年0.72% 年0.52%
【耐震改修工事を伴う場合】
マンション共用部分リフォーム
年0.52% 年0.32%

※上記金利は平成28年6月1日現在のものです。融資金利は毎月見直します。
※最新の金利は、機構のホームページ(http://www.jhf.go.jp/)でご確認ください。

 

‐借り入れできる金額は?

工事費の80%、または1戸あたり500万円(※)の戸数分の金額、どちらかの低い額を限度としています。
耐震改修工事を伴わない場合は1戸あたり150万円となります。毎月の返済額が、毎月の修繕積立金の80%以内であることも条件です。

‐年間、どのくらいのマンションが利用しているのでしょうか?

2015年度はマンション共用部分リフォーム融資全体で385組合にご利用いただき、そのうち20組合が耐震改修工事を伴う工事をされました。

‐地域や工事の規模に傾向はありますか?

地域としては、やはり東京都が多いです。東京都では、平成23年に特定緊急輸送道路(震災時に救急活動や輸送の大動脈となる幹線道路)を指定し、沿道の建築物の耐震化に取り組んでいます。その成果で、マンション管理組合にも耐震化の必要性が浸透してきているのではないでしょうか。工事の規模や金額はマンションによってさまざまです。

‐利用の流れは?

総会で借入に係る決議をしていただく必要があり、その時に規約の改正が必要となる場合もあるので、まず事前にご相談いただくことをおすすめします。必要書類を揃えてお申込みいただきましたら、2週間程度で融資の可否を判断します。工事完了後に、保証料をお支払いいただき、融資のご契約を経て融資金のお受け取りとなります。

‐申込から融資の可否がわかるまで早いんですね!

管理規約の内容、区分経理や未収金の状況、工事実施と借入、理事長の選任状況、総会や理事会の運営状況などが主なポイントとして確認させていただきます。繰り返しになりますが、事前にご相談いただくことでスムーズなお手続きにつながると思います。

住宅金融支援機構の融資は、意外にスピーディー。耐震改修工事を伴う場合は金利の引下げもあるので、資金面で耐震改修工事を迷っているマンションには朗報じゃぞ!

次回は、「融資申込みのポイント」について。融資を申込むための具体的なアドバイスがいっぱいじゃ!お見逃しなく!

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