耐震について知ろう

2016/06/21

事例でわかる★耐震工事成功のポイント〜ホテル編〜

第1回:耐震診断実施にこぎつけたポイントは?

 

<事例>ホテル花巻 竣工:1974年 部屋数:102室

 

ホテルや旅館などの宿泊施設は、築年度が古く、耐震工事が必要な建物が多くあると言われています。しかし、耐震工事の必要性を感じても、耐震診断・耐震工事の費用や、耐震工事中の営業についてなど、問題は山積み。どうすれば、診断や工事にこぎつけることができるのか?今回は、耐震診断から耐震工事を実施した岩手県花巻市の宿泊施設「ホテル花巻」の施設管理部長、佐々木晃取締役にインタビューをさせていただきました。耐震診断を受けるきっかけから、費用の捻出、耐震工法の選択、耐震工事中の営業体制まで、耐震工事を検討されている宿泊施設の方に参考となるお話が満載です!

 

‐まず、「ホテル花巻」の概要について教えてください。

同じ敷地内に、「佳松園」「ホテル紅葉館」「ホテル花巻」「ホテル千秋閣」の4館が立ち並び、他にもバラ園やカフェ、お土産処などを揃えた施設です。トップシーズンは紅葉が素晴らしい秋で、観光のお客様で賑わいます。ご宿泊いただくと、「ホテル紅葉館」「ホテル花巻」「ホテル千秋閣」の、どの館の温泉にも入れますし、各館の和洋中のレストランをお好みで選ぶことができます。

 

季節の移ろいが楽しめる桧風呂

 

‐耐震診断を検討したきっかけは?

2013年の耐震改修促進法の改定(※)が、直接のきっかけです。「ホテル花巻」は1974年、「ホテル紅葉館」は1979年、「ホテル千秋閣」は1986年に建てられたので、「ホテル花巻」と「ホテル紅葉館」は旧耐震基準の建物で、耐震診断が義務付けられた対象となりました。急きょ、耐震診断を受けることになり、自治体が開いている説明会に出席したり、補助金を調べたりしました。

※多数の人が利用する旧耐震基準で立てられた建物「特定建築物」のうち、大規模施設や避難弱者が利用する建物に対して、耐震診断の義務化とその結果の公表が定められた。

 

‐耐震診断を受けるのに、不安はありませんでしたか?

 

佐々木晃取締役にお話を伺いしました

耐震診断の結果、一体どれくらいの規模の耐震工事が必要となるのか、まったく見当がつかなかったので、正直、受けるのは少し怖かったですね。しかし、法律の対象となっているのだから受けなければならないと、社内でもみんな納得していました。

 

‐耐震診断を受けた時期は?誰に依頼しましたか?

耐震診断を受けたのは、法改正から1年後の2014年です。元々つながりのあった構造設計の会社に依頼しました。

 

‐耐震診断の費用は?どのように捻出しましたか?

費用は、耐震診断の対象となった2棟で約3000万円です。国からの助成金も出ましたが、花巻市に相談して助成金が出たことが大きく、実際に我々が負担したのは6分の1程度でした。「ホテル花巻」と「ホテル紅葉館」は、市の観光拠点になっていますし、東日本大震災の時は被災者の受け入れ先にもなっていたこともあり、市も対応してくれたのだと思います。自治体によって対応に差があると聞いているので、本当に助かりました。

 

耐震診断に対して花巻市から助成金が出たのは、「ホテル花巻」「ホテル紅葉館」がこれまでの実績から花巻市にとっても大切な財産だと、評価されていた証じゃ!市をあげての耐震化だったわけじゃな!

次回予告:

さて、次回は耐震診断の結果と、耐震工法について。景観が大切なホテルだからこそ、こだわった工法選びの話は必見じゃ!

耐震について知ろう
ページの先頭へ