2016/06/28
事例でわかる★耐震工事成功のポイント〜ホテル編〜
第2回:ホテルだからこそ、こだわる!耐震工法の選び方
耐震改修促進法の対象となった岩手県花巻市の宿泊施設「ホテル花巻」「ホテル紅葉館」は、国や花巻市の助成金を得て耐震診断を実施しました(第1回:耐震診断実施にこぎつけたポイントは?)。第2回は、耐震診断の結果と、ホテルだからこそ、こだわった耐震工法の選び方などについてお聞きします。
‐築年数は古いですが、しっかりした建物だったんですね
はい、診断していただいた会社にも、高く評価していただきました。ホテル花巻では、フロントロビーにかなり広々した空間を確保しているんですが、東日本大震災の時も、ごく一部に亀裂が入ったのと、レストランのガラスの一部破損したくらいだったんですよ。「ホテル紅葉館」の方は、旧耐震基準の建物でも耐震工事の必要性がほとんどなかったわけですから、古い建物ならではのしっかりした建築なのだと思います。管理していく上でも、細かなところはマメに手を入れていますし、お客様にも手入れが行き届いているとお褒めいただいています。
‐耐震工法には多くの種類がありますが、「ホテル花巻」ではデザインフィット工法を採用していますね。
耐震診断から設計まで、同じ構造設計の会社にお願いしましたが、担当の方からデザインフィット工法の提案がありました。工期が短いので、ホテルの営業への影響が少ないですし、景観に影響の少ない外観が気に入りました。特に、レストランの工事は見た目と雰囲気を重視していましたが、「これなら問題ない」と、ほぼ即決でしたね。
‐耐震工事の費用は?
国からも助成金が出ましたが、診断の時と同様に花巻市に相談しました。市は補正予算を組んで、耐震診断の時よりもさらに高額な助成金を出していただきました。補正予算なので、市議会で採決する必要があったのですが、特に反対もなく可決いただいたそうです。実際の負担額は、3分の1程度で済みました。
日常とは異なる雰囲気と食事を楽しむホテルのレストラン。その景観に影響の少ない工法としてデザインフィット工法が採用されたのじゃな!工期が短いのもホテルには嬉しいポイントじゃ!
次回予告:
次回は、耐震工事中の営業体制と、今後について。ホテルの営業を継続しながらの耐震工事を進める工夫に注目じゃ!
‐耐震診断の結果は?
実は、診断してみたら、意外に耐震工事箇所が少なくて済むことがわかって驚きました。途方もない見積り金額だったらどうしたものか、と悩んでいたのですが、そこまでの金額ではなく、ほっとしました。
‐耐震工事が必要だった箇所は?
「ホテル花巻」1階のピロティ形式の駐車場と、最上階の展望レストランです。ピロティ形式は地震に弱いと聞いていたので、駐車場はおそらく工事が必要だろうと考えていました。7階のレストランも、ガラス張りの構造で弱いのではないかと考えていたので、想定内でしたね。実は、3.11の震災の時も、レストランのガラスが一部破損したんです。今回の診断で、同じ箇所を指摘されたことで、診断の正確さを改めて認識しました。
「ホテル紅葉館」の方は、裏側の機械室内1カ所だけと診断されました。