耐震について知ろう

2016/08/09

事例でわかる★耐震工事成功のポイント〜ホテル編〜2

第2回:熊本地震の被害と、工事に与えた影響

 

熊本県阿蘇郡の三愛高原ホテルは、阿蘇を一望できる眺望が魅力の中央棟に、眺望を損なわないデザインUフレーム工法を採用することを決定しました(第1回:自慢の眺望を壊さない!耐震⼯法の選び方)。第2回は、耐震工事着工直後に起こった熊本地震の被害や、その後の工事に与えた影響などについてお聞きしました。

 

 

‐耐震診断を開始してから、設計を経て工事着工まで、どのくらいの期間がかかりましたか?

2015年3月に耐震診断がスタートし、耐震改修設計が終了して工事に着工したのが2016年4月なので、丸1年かかりましたね。私が考えていたよりも、診断に時間がかかりました。

‐ 耐震診断や耐震改修設計の費用は?

どちらも900万ほどかかりましたが、国や自治体から6分の5の助成金が出たので、直接の負担は6分の1で済みました。

 

 耐震工事とあわせてリニューアル工事中

‐耐震工事には大きな費用がかかりますが、迷いはありませんでしたか?

今後、耐震性が保証されない宿泊施設には、お客様は来ていただけないようになるでしょう。また、大地震が起こった時に耐震工事をしないで被害が出れば、事業継続ができなくなります。安心・安全を保証するのは宿泊施設にとって最低限の義務だと思いましたので、迷いはありませんでした。

‐その耐震工事に着工した直後に、熊本地震が起こりました。

益城町などで震度7を記録した4月14日の前震、4月16日午前1時半ごろの本震は大丈夫だったのですが、16日の午前4時ごろに起きた阿蘇を震源とする直下型地震で、西棟は使えない状態になってしまいました。他には、3棟をつなぐエキスパンションにヒビが入りましたが、これは強い地震に耐えるための構造なので想定内ですね。東棟と中央棟は、ガラスが割れる程度の被害で済みました。

 出典:気象庁ホームページ

 

‐地震が起こった時は、営業中でしたよね?

130名のお客様が宿泊されていました。耐震診断が済んでいたので、どこが地震に弱いのか強いのかがわかっていましたので、地震に強い場所に集まっていただくように誘導し、けが人は1人も出さずに済みました。自信を持ってお客様をご案内できたので、耐震診断を受けていて良かったです。

‐その後、東棟、中央棟の耐震工事は予定通り進んだのですか?

強い余震が頻繁に起こっていたので、2週間ほど工事は中断しましたが、その後はほぼ予定通りに進みました。すでに人や資材の手配が済んでいたので、スムーズに工事ができたのだと思います。その意味では、早めに準備を進めていて本当に良かったです。

 

杉本真一代表取締役社長にお伺いしました

 

大地震前に耐震診断、耐震工事と動いていたからこそ、けが人もなく、地震後の工事もスムーズに進んだのじゃ!やはり早め早めの動きが大切じゃぞ!

次回予告:

次回は、耐震工事中の状況とリニューアルオープンについて。工事の仕上がりにも注目じゃ!

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