耐震について知ろう

2016/04/05

今さら聞けない基本の「き」 「耐震基準」ってそもそも何?

「耐震基準」とは、建築基準法の定めによって決まる!

 「耐震基準」は、建築基準法によって「地震に備えるために、建物をどのように作るか」を定めたものです。建築基準法は1950年に制定され、耐震設計法(旧耐震設計法:第1世代)が生まれましたが、大きな地震が起こると、その教訓を元に改正が繰り返されてきました。特に大きな改正があったのが1981年で、これ以前の建築基準法で定められたものを「旧耐震基準」、以降の建築基準法で定められたものを「新耐震基準」と呼んでいます。

地震大国・日本では、過去の地震の教訓に学び、耐震についての研究が行われ、法整備がされてきた歴史があるんです!

新耐震基準のポイントは?

 1981年に改正された建築基準法に基づく新耐震基準は、極めてまれに起こる大地震でも倒壊しないことを前提にしています。1978年に起きた宮城県沖地震(建物の全半壊7400戸)での被害を教訓に改正されました。

改正ポイント1:被害の程度

 新耐震基準では、震度による被害が「震度5強ならば軽微な損傷、震度6強〜7でも倒壊はのがれる」ことを目標として基準が作られました。旧耐震基準の建物は震度6〜7の地震に対し、特に規定を設けていません。東日本大震災では、震度5強は首都圏の震度、震度6強〜7は震源地に近い宮城県太平洋側周辺での震度になります。
 阪神淡路大震災で建物の被害は旧耐震基準で建てられたものに集中したことから、この耐震基準の有効性が証明されました。

改正ポイント2:地震によりかかる力の算定法

 旧耐震基準では、各階の重さに一律の係数をかけて地震によりかかる力(荷重)を算定していましたが、新耐震基準では建物の高さが高くなると、かかる力も大きくなる算定法を採用しています。
 また、建物の揺れ方の性質や、地盤の性質も、地震によりかかる力の算定に加味されるようになりました。

改正ポイント3:建物のバランス

 バランスの悪い建物は、地震の力を一定に受けることができないので、全体では必要な強度があっても地震の力に耐えられないことがあります。旧耐震基準では建物バランスは考慮されていませんでしたが、新耐震基準では考慮されるようになりました。

1978年の宮城県沖地震の被害から学んだ法改正。新耐震基準と旧耐震基準では大きな違いがあるのです!

執筆・編集 住まいのそなえ研究所
<参考文献:これで完璧!マンション大規模修繕
(マンション大規模修繕研究会著・エクスナレッジ発行)>

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